簡素で素朴な銅雨樋は、古風で新鮮な軒先の風情を演出します

動力による圧延成型技術が未発達な時代、非常に高価なものとして扱われた銅が雨樋として使われた理由

IMG_3632.JPG高価な銅を用いるという贅沢な普請を楽しむ一方で、銅の雨樋は竹や木製の雨樋のように腐る事なく、人間の寿命以上に長持ちし、しかも、鉄より扱いやすく、鉄のように錆びて朽ちる事がないことから、非常に贅沢な雨樋として用いられるようになりました。
古くから作られていた銅製または銅合金製の雨樋のほとんどは半丸型の軒樋で、板厚1〜2ミリ程の手延べ銅板を使用していました。
旧家の改修などで取り外された銅製雨樋の多くは、再び雨樋として使用されています。



PIC0023.JPG改修にあたり取り外された雨樋は、写真のようにコールタールが塗られて黒く変色しています。
鉄板製の軒樋が作られるようになると、鉄板の錆び止め剤としてタールが使われた時代がありました。
これと同様に、銅にも錆び止め剤としてタールを塗布したとか、第二次大戦中の金属類供出を逃れるために、タールを塗り込めた価値の低い鉄製の軒樋に見せかける為だと云われています。
いずれにせよこのようにして時代、戦災を乗り越えた銅雨樋は、従前使用されていた場所で引き続きその役目を果たします。



PIC0026.JPG現在に残るこれら銅雨樋は、前出の写真のようにタールが塗られている事が多く、使用に耐える事ができても美感面では最悪の状態です。
このような場合は、洗浄をするのですが、写真の様に汚れや緑青が落ちた後は、作られた当時の銅色(あかがねいろ)が蘇ります。
ここで取り上げている銅雨樋は、旧家の家人のはなし、建築年代からみて明治初期のものと考える事ができますが、詳しい製作年代は定かではありません。
そこで、少なく見積もって第二次大戦終戦から数えてみても、50年以上は使用されていることになります。
普請(施工)から50年...まさに一生ものの雨樋なのです。